コラム

クラウドPBXの導入失敗にありがちなポイント

クラウドPBX導入失敗事例

業務システムはクラウド化の流れが進んでいますが、電話を管理するシステムであるPBXにおいてもクラウドサービスが増えています。

一方で、明確な目的や基礎知識が不足した状態で「クラウドであれば時代に即していて良いものに違いない」と、安易にクラウドPBXを導入したり、切り替えてしまったことで、失敗してしまったというケースが散見されています。

この記事では、PBXの導入や切り替えを検討している企業担当者に向けて、クラウドPBXとは何か?そして、クラウドPBX導入の失敗にありがちなポイントをわかりやすく解説します。失敗の内容を知ることで、失敗しないためのポイントも見えてくるでしょう。

クラウドPBXとは?

クラウドPBXは、一般的なPBXが実現している内線・外線間の接続や交換機能などを、クラウド上に置かれたPBXを用いて利用できるようにしているサービスのことを指します。

設置型のPBXと比較すると、物理的な装置を設置する必要がないため、設置場所と工事が不要となります。そのため、初期導入費用を抑制したり、導入期間を短縮することができるケースが多くなります。

他には、防災に優れたデータセンターにPBXが置かれているクラウドPBXは災害に強いという特徴もあります。

クラウドPBX導入の失敗原因

続いて、クラウドPBX 導入における失敗の原因をご紹介していきます。

コスト削減につながらなかった

PBXの装置を購入する必要がないため初期導入費用が抑えられる、という点だけに気を取られてしまい、実はコスト削減につながっていなかったという話は多く耳にします。

電話システムは頻繁に変更するものではありません。一般的な設置型のPBXは最低でも5~6年程度使用しますが、月々に割り直して比較してみると、実際にはクラウドPBXの方が高かったというケースはよくあります。場合によっては、購入した装置をもっと長い期間使用することで、更に割安になっているという企業の方が多いくらいでしょう。

また、電話システムの総額に占めるコストは、PBXの「装置」よりも「電話機」の方が大きいということも忘れられがちなポイントです。クラウドPBXサービスであっても電話機は購入しなければならない場合が多く、電話機の値段が高く設定されていればかなり割高な設備投資になってしまいます。

コスト削減が主目的であれば、時間軸を5〜7年に設定し、装置と電話機の総額を算出した上で、購入型とクラウド型を比較してみると良いでしょう。

通話品質が悪い

クラウドPBXは、電話やPBX装置、電話機に関する知識と経験が不足した企業も新規に参入しています。このような会社のサービスの場合、通話品質が悪い場合のトラブルシューティングが十分できなかったりすることもありますので、注意が必要です。

「クラウドPBXを導入したが、回線の安定性や音声品質に関するトラブルが多発している。価格に惹かれて導入したが、これでは本業に支障をきたしてしまう」

といった例もありますので、このような失敗だけは何としても避けなければなりません。

また、オフィスの通信環境が悪いと通話品質にも悪影響が及びます。インターネット通信が集中する時間帯に品質がダウンするといったこともあり得ますので、そうした点も注意が必要です。

電話においては、通話品質は最も重要なポイントの一つです。コストが下がったとしても、通話中にノイズが入ったり、ラグが発生したり、聞き取れないといった問題が発生してしまっては意味がありません。

このような失敗を避けるためには、「通話品質に関する評判をチェックする」「無料トライアルで品質をチェックする」「社内のインターネット通信環境をチェックする」といった導入検討時のチェックが必要です。

セキュリティトラブルが発生してしまった

クラウドPBXの導入を検討する際に、社員のスマートフォンをビジネスフォン代わりに利用する「BYOD(Bring Your Own Deviceの略)」を目的の一つとするケースが増えています。(これもたまにある誤解の一つで、実際には設置型のPBXでも利用できるものはあります。)

しかし、利用ルールやセキュリティ対策が不十分だったためか、データ流出などのセキュリティトラブルが発生してしまったというケースがあります。

スマートフォンを内線化することで業務を効率化したり、電話機コストを削減することにつながるケースは多いですが、同時にセキュリティ上の脅威も高まりますので対策が必要です。

社員がスマートフォンを使用する際などに、OSやアプリの弱点を付かれてウイルス感染し、他の端末やコンピューターに感染が広がったり、スマートフォンを紛失したり盗難にあったりして社内情報が外部に漏洩するリスクもあります。

そうしたセキュリティトラブルを防ぐ為にも、スマートフォンにセキュリティソフトを入れるといった措置や、利用ルール作り、教育に至るまでの対策をしっかりとる必要があります。

十分なサポートを受けられない

専門的なITの知識を持ったスタッフがいない会社だと、最低限の機能を利用することしかできず、最適な設定や利用方法の助言を得られない可能性があります。

電話システムに問題が起きた際に、しっかりした技術的対応ができる会社を選ばないと、業務に支障をきたしてしまうリスクが高まります。

過度に価格で勝負していたり、自社で開発していないような会社に多い傾向があります。クラウドPBXの導入を検討する際には、サービス提供会社にITの専門知識を持ったスタッフがいるか、導入前にやり取りをしながら確認するようにしてください。

充実したサポートを求める場合は、PBXを自社開発しているメーカー、ネットワークの専門家が在籍している会社を選ぶと良いでしょう。

おわりに

電話システムは、よほどの大手企業でない限り、経営者自身や総務部門が担当している場合が多く、ITの専門知識が不足しているケースが多くあります。

そのため、本稿のように、「今時はクラウドが良いだろう」といった安易な理由や、コスト削減や業務効率化のセールス・トークを真に受けて、よく分からないクラウドPBXを導入してしまって失敗するケースが散見されます。

当社(まほろば工房)は、ネットワークの専門家集団であり、国内では数少ない、PBXの装置を自社開発している企業です。そして、設置型(アプライアンス型)PBXと、クラウドPBXの両方を提供している会社でもあります。

そんな当社ですが、クラウドPBXについて相談を受けることが増えてきましたが、できることや、価格面の両方をしっかり説明すると、設置型(アプライアンス型)PBXを選択することがほとんどです。

設置型とクラウドPBXの双方の利点・弱点を詳しく知りたいというご担当者は、ぜひ気軽にご相談ください。